NLF(New Legislative Framework)

2010年1月1日にEUで、NLF(New Legislative Framework)が施行されました。
NLFとは「既存のニューアプローチ指令の整合化を促進する枠組み」という意味です。

NLF (New Legislative Framework)—制定の経緯

NLFの制定の経緯は、EUにおける各種の指令(Directive)間の整合性を高め、簡素(Simplification)を進める運営がなされてきているが、その基本になっているニューアプローチ指令の問題点が指摘され、見直しが指示されたことにあります。
(2003年の欧州委員会通達および理事会決議)

<指摘されている問題点>

  • 700ものオールドアプローチ指令
  • 27ものニューアプローチ指令
  • "章"に「抜け」や「漏れ」がある
  • 一貫性がなく混乱をきたす
  • 相互認証が機能していない

<NLFのねらい>

  • 既存のニューアプローチ指令を強化する
  • ニューアプローチ指令の見直し以上のことを行う
  • 製品の市場流通のための「法律的枠組み」の構築

そこで、下記のような手続きでNLF(New Legislative Framework)が発行されました。

  • 2007年2月14日 EU委員会提案
  • 2008年6月23日 EU理事会採択
  • 2008年8月13日 OJ(官報)に公布
  • 2010年1月1日 発効

NLF (New Legislative Framework)の特徴

NLFでは、ニューアプローチ の基本理念は踏襲しつつも、以下の構成要素を補強しています。

  • Accreditation(認定)— 適合性評価機関の認定(適合性評価の強化)
  • Market surveillance(市場監視)強化—健康と環境重視。違反は市場退場も。
  • CEマーキングの信頼、権威を高める

また、

  • 決定事項(条文)は既存の指令が改定されるときに盛り込まれる(自然に整合化)。
  • 制度の簡素化・整合化をはかり、手続きなど管理的な負担が軽減される。
  • SME (Small and Medium Sized enterprise:中小企業) に有益。

など、制度全体を簡素化(simplification)し、中小企業にも有益な枠組みになっていることが特徴です。

NLFを構成する3 規定

1) Regulation EC (No) 764/2008
-procedures relating to the application of certain national technical rules to products lawfully marketed in another Member State(on Mutual recognition)
2) Regulation EC (No) 765/2008
-requirements for accreditation and market surveillance relating to the marketing of products(accreditation and market surveillance)
3) Decision (No) 768/2008/EC
-on a common framework for the marketing of goods

ニューアプローチ の基本理念は踏襲しつつ構成要素を補強ニューアプローチ の基本理念は踏襲しつつ構成要素を補強

<EUの法区分>

Regulation(規則) 全ての加盟国に直接適用され、国内法と同じ拘束力を有する。
Directive(指令) 新しい国内法の制定、現行の国内法の改正、廃止の手続き後に拘束力が発揮される。達成されるべき結果は加盟国を拘束。形式方法は国内法
Decision(決定) 対象範囲を特定(加盟国、企業、個人等)して、具体的な行為の実施あるいは廃止等を直接的に拘束する。
Recommendation(勧告) 加盟国、企業、個人等に一定の行為の実施を期待することを欧州委員会が表明するもので拘束力はない。
Opinion(意見) 特定のテーマについて欧州委員会の意思を表明したもので拘束力はない。

Accreditation(認定)—適合性評価機関の認定(適合性評価の強化)

背景

'Accreditation(認定)'自体は多くの加盟国に1970年代からあったが、共通の基盤が欠如していたため、適合性評価機関(conformity assessment bodies)からの評価結果も、国によって厳しさが異なっていた。

⇒ 適合性評価機関を認定する域内共通の一つの基準が必要になった。

ねらい

  • 均一な単一市場形成
  • 評価のレベルをそろえ品質を高める基盤
  • 市場の信頼向上
  • 適合性評価機関(各種証明書類)の権威を高める。
  • 全EU域内で一つの認定証書

根拠となる規定

Regulation (EC) No 765/2008
1加盟国あたり 1認定機関(Accreditation Body)が原則
非営利 公明正大

Market surveillance(市場監視)強化—健康と環境重視。違反は市場退場も。

市場監視とは

指令の規定が守られているかを監視することが、マーケットサーベイランス(市場監視)である。EU加盟各国には、市場監視を管轄する当局を設置して各国単位で監視を行うことが義務付けられている。違反が発覚した場合の措置は各国が独自に決めており、罰金や禁固刑、製品の撤去、出荷・販売・使用の禁止などがある。なお市場監視の活動に公認認証機関が関わることはできない。

背景

  • Notified Body ごとに異なる評価基準。
  • 機関ごとにマーケットサベイランスのレベルがまちまち。
  • CEマーキングの乱用

ねらい

  • 監視レベルの均一化(危険な製品、偽造製品の流通を阻止)
  • CEマーキングの信頼回復
  • 市場情報システムの強化・連携、市場情報の共有(RAPEX / ICSMS)

根拠となる規定

Regulation EC (No) 765/2008
"on accreditation and market surveillance "