各種レポートと技術文書(Technical Documentation)の作成

各種レポートと技術文書の作成

業務計画書のテストプランに従って対象製品のサンプルで必要な試験を行います。試験は、外部の試験所に依頼した場合は、そのテストレポートを含めて入手出来ますが、社内で実施した場合には、自身でそのレポートを作成が必要となります。また、リスクアセスメントの実施とそのレポート作成、適合の根拠を記述する技術文書など結果のまとめは想像以上に大変なことが多くあります。

CEマーキングの場合の対応として以下のレポート・文書作成が必要となります。
1. EMC試験、テストレポート
2. 安全試験、テストレポート
3. リスクアセスメントの実施とアセスメントレポート
4. マニュアルのレビューと作成
5. 技術文書の集成と作成
6. 宣言書

社内に試験施設があって、その試験とレポートを作成出来るならば問題ありませんが、専門のスタッフがいない場合は、その試験、レポート作成の対応が困難になり外部の試験機関に頼らざるを得なくなります。安全認証マーク、ライセンスの取得の場合には、認証機関に依頼して対応することになりますが、それらの取得業務も専門的な知識と経験が必要です。

技術文書は、試験を含めてCEマーキング適合の根拠を示すものとして要求されますが、社内の安全技術の蓄積・継承にも力を発揮します。経験は将来に繋がる貴重な財産であり、その記録を技術文書に反映して次の世代への貴重な羅針盤として活用すること、メーカーの 規格適合の記録は、将来に継承されるべき重要なノウハウとなります。

技術文書は、「ものを言わない弁護士」

CE marking(EU指令)は、その適合の根拠を示す技術文書を作成して維持管理することが要求されています。
EU整合規格の改訂によって、その規格要求が変わって、現行の製品に対して適合確認が必要になります。
下記(1),(2)は、最近の安全規格改訂の例ですが、いずれも今までの規格が廃止され、新しい年度版への適合確認を行って、その結果を記録することが、CE marking製品を維持管理する上で必須要件となっています。

(1) EN 60204-1:2018 (旧版:EN 60204-1:2006+A1:2009)

Safety of machinery - Electrical equipment of machines - Part 1: General requirements

  1. Low Voltage Directive(2014/35/EU) *改訂時期(期限): 2021年5月27日
  2. Machinery Directive(2006/42/EC) *改訂時期(期限): 2021年10月2日

(2) EN 61010-1:2010+A1:2019 (旧版:EN 61010-1:2010)

  1. Low Voltage Directive(2014/35/EU) *改訂時期(期限): 2022年5月30日

このように整合規格が更新(改訂)された場合に具体的にどのような対応をすれば良いか、再試験を行って完全にテストレポ-トを更新することは、時間、及び費用の面で多くの負担となります。
更新された規格が対象製品に大きく影響するかどうかが、最大のポイントとなりますが、規格要求を的確に把握して試験を行う必要があるかどうかを検討して、再試験のテストプランを作成して実施することが大切です。

基本的に更新版で要求されている箇所に対して試験を行って、テストレポートを作成することで対応出来ますが、対象製品そのものに設計変更などがある場合には、それらを含めて対応することが必要です。

また、適合の根拠を記載する技術文書(Technical Documentation)に反映することが、それらの経過を含めて最もお勧めできる方法で、もし当局の査察、又は客先からの問い合わせがあった場合に、的確に対応が可能でその意味で技術文書は、「ものを言わない弁護士」と言っても良いでしょう。

※技術文書(TD)