安全規格対応業務では、その規格に適合させるための技術はもちろんですが、それを実現するために付帯的な情報と対応のために人的なスキルが必要となります。
1. 規格書、情報の入手方法
安全規格取得のためには、各種の情報、規格書が必要になります。書籍はもちろんですが、インターネットの活用は容易に情報入手する手段として有効です。但し、多くの情報の中で本当に必要な価値ある情報を得るためには、そう簡単ではありません。その分野に精髄している道案内があればたどり着くことが出来る場合も有りますが、いずれにしても情報入手のためには基礎的な知識と方法が必要となります。
2. 規格書の見方、活用方法
格書の見方、調べ方は人それぞれの方法が有りますが、まずは対象規格の全体の内容をセミナーやコンサルティングなどで把握することをお勧めします。そして対象製品に要求される技術的要求が何であるか、規格解釈での要求内容は何か、適合するための技術対応を行うことが重要です。
規格書を最初から読破することも一つの手ですが、実際の適合作業を通して実務対応で継続的に行うことによって、その応用力も向上して自然体での規格適合業務を進めることが可能になります。いわゆる「習うより、慣れろ」です。
3. 規格要求と技術対応
安全技術は、取得すれば、当たり前のことですが、その領域にたどり着くまでは容易ではありません。最初は、メーカーの技術開発と同様にその困難が伴いますが、規格にはいずれ適合することが出来ます、その方法は一つではありませんが、専門家の指導を受けて対応することも効果があります。
メーカーの規格対応 *設計段階で規格要求を満足することが重要です。
- リスク分析と評価の実施
- IEC規格を基本にした技術対応と各国のデビエーション(規格要求の相違点)を考慮した設計
- 規格要件の的確な把握と設計図面への展開
- 社内安全技術と外部コンサルティングの活用
4. 安全技術の習得方法
技術対応のためには、まず規格要求を知ること、そして対象製品に対してそれらを展開することが必要です。これらを十分行わないで設計した場合に製品が出来てから、修正、改造などの作業か発生して時間的、費用的な損失が大きくなります。
開発の源流段階で対象製品の販売仕向地を定めて、各国の法規制・規格にどのように適合させるか、現状を把握して早期にその問題点と対策を洗い出して事前に対策することが結果的に確実な規格適合とリードタイムの短縮、コスト削減に繋がります。
5. セミナーの活用
安全規格のセミナーは公的機関、民間機関など様々な分野で行われています。セミナーは、 規制・ 規格の全体的な内容を把握するために有効ですが、参加者を含めてその目的を明確にすることが大切です。また、セミナーに参加することが目的ではありませんから社内にその結果を反映して、特に開発・設計現場での技術者の適用能力を向上させることが重要です。
6. 安全規格対応のための業務計画と継続的な努力
適切なテストプラン(業務計画)を作成し、必要な試験を行い、その適合の根拠を技術文書(TD)で述べることが重要で下記の点を考慮して継続的な対応が期待されます。
- 対象製品について、過去のデータと技術的な考察を基に必要な試験を選択して総合的に評価を行い、計画的に実施する。
- CE マーキングは、多くの場合、自己宣言 (Self Declaration of Conformity)で対応出来ますから技術的に その適合をメーカーの立場で述べることで、継続的なモノづくりの経験と蓄積された技術やテストデータを 活用することによって、その適合確認と技術文書を効率的に対応することが可能です。
- 系統的で科学的なリスク分析(Analysis)と評価 (Assessment)を行い、そのレポートを作成する。
リスク分析、評価で最も重要なことは、その危険に対するモノづくりを行う人のリスク感性です。この危険に対する感性を最大限に引き出し、モノづくりに反映することによって、法規格・規制に適合したユーザーが使って安全な製品を生み出すことができます。
7. 国際標準化の取り組みと人材育成
メーカーは、国際規格や海外規格のグローバルスタンダードに適合した物づくりが要求されるのは勿論ですが、「規格を制することは世界を制する」と言われるように規格要求は、製品の設計・製造に大きく影響することから規格制定にもっと積極的に関わることが重要となっています。また、安全規格に精髄した人材の育成も益々必要性が増しています。その意味でメーカーの担当者レベルを超えた経営レベル、業界レベル、そして国レベルでの積極的な対応が期待されています。