ユーザーマニュアル

ユーザーマニュアル

ユーザーマニュアルは、使用者への製品の安全に関する情報提供をする手段として重要です。安全規格の要求においても製品の使用上のリスク(危険)の所在を伝えて安全に使用できるようにその記載内容が適切であるかの審査があります。

ユーザーマニュアルは、リスクアセスメントで同定された残留リスクに対してそのリスクを回避するための方法を分かり易く記載することが求められています。

また、適用した規格上の要求として必須記載事項も有りますので製品の正しい使い方、使用者の本質的な安全対策(製造物責任)を含めて総合的にマニュアルレビューを行って対応することが必要です。

以下のマニュアルがあります。
・操作マニュアル(Operation manual) 
・設置マニュアル(Installation Manual)
・保守マニュアル(Maintenance Manual)

残留リスク(リスクアセスメント)のユ-ザ-マニュアルへの記載

(1) 取扱説明書(Instruction Manual)

規格要求の概要(IEC 82079-1:2012)

1) 製造者の義務 (Manufacturer’s Responsibility)

CEマ-キングの下記の新EU指令は、取扱書説明書について、下記のように要求が厳しくなっている。

  • EMC指令 (2014/30/EU)
  • LV指令 (2014/35/EU)
  • RE指令 (2014/53/EU)

■取扱説明書の具体的な作成方法は、IEC 82079-1:2012 を参照のこと。

2) 残留リスク (Residual Risk)

下記のようなフロ-で残留リスク(使用上の安全情報)を洗い出す。

(2) リスクアセスメント(Risk Assessment)

1) 規格要求(ISO 12100:2010 (ISO TR 14121-2)

Safety of machinery
— General principles for design — Risk assessment and risk reduction

■リスクアセスメント Risk Assessment

危険源に対するリスクの低減を3ステップメソッドによって、許容できるレベルまで低減する。
ここで重要なことは、対象の製品の用途(Intended Use)、ユ-ザ-(Target Group)を考慮して、
使用に関する制限事項を実際に使用するユ-ザ-の立場で考察して安全を確保することである。

出典: 社団法⼈⽇本機械⼯業連合会



2) 規格要求(CENELEC GUIDE32:2014)

- Guidelines for Safety Related Risk Assessment and Risk Reduction for Low Voltage Equipment-

EU指令(CE Marking)の低電圧(LV)機器のリスクアセスメントに関する規格であり、
基本的な考え方、要求内容は、ISO/IEC Guide 51に基づいているのでGuide 51も合わせて
参考にして対応することをお勧めします。

■ガイドの目次


■リスクアセスメントの段階 Risk Assessment Step

リスクの特定とは、リスクの発見、認識、および説明のプロセスである。
リスクの分析とは、リスクの内容を理解し、深刻度とその起こりやすさの組み合わせから生じるリスクの大きさを決定するためのプロセスである。
リスクの評価とは、リスクおよび/またはその大きさが許容可能かどうかを判定するための、リスク分析の 結果を比較するプロセスである。

リスクアセスメントは、
リスクの特定、分析および評価の全体のプロセスである。

● すべてのライフサイクルにおけるハザードを特定する。

  1. 輸送 Transportation
  2. 組立、及び設置 Set-up, Installation
  3. 使用、保守、修理 Operation, Maintenance, Repair
    ※安全に関係する範囲で、分解および廃棄を含める。

● 想定されるすべての作業カテゴリーにおけるハザードを特定する。

  1. 設定 Setting
  2. 試験 Testing
  3. プログラミング Programing
  4. 起動 Start-up
  5. すべての動作モード All modes of operation
  6. 低電圧機器からの製品の取り外し Removal of product from LV equipment
  7. 通常停止 Normal stop
  8. 非常停止 Emergency stop
  9. 予想外の起動 Unexpected start-up
  10. 故障発見/ トラブルシューティング(操作者介入)
    Fault-finding / trouble-shooting (operator intervention)
  11. クリーニングおよび維持管理 Cleaning and housekeeping
  12. 計画的保守および修理 Planned maintenance and repair
  13. 無計画的保守および修理 Unplanned maintenance and repair
  14. 合理的に予見可能な誤使用 Reasonably foreseeable misuse
  15. セキュリティ脅威(通信、アクセスチャンネル)
    Security threats (communication, access channel)
残留リスク(Residual Risk)の対策について、適切な保護方策を実施して、ユ-ザ-への情報提供を行うこと。

Warning of residual RISK

Where RISKS remain despite the inherent safe design measures, safeguarding and
complementary protective measures adopted, the necessary warnings, including warning
devices, shall be provided. If a warning device is provided, it shall give an appropriate
acoustic or light signal as a warning which shall be unambiguous and easily perceived. The
OPERATOR shall have facilities to check the operation of such warning devices at all times.
(Warning devices shall comply with IEC 60073.)

適合性の検証は、検査(リスク評価)によって行う。

Conformity is checked by inspection.

(3) ユ-ザ-マニュアル(Instruction Manual) *安全関連情報(残留リスク)の記載

残留リスク(3-Step Method: ユ-ザ-への情報提供)をマニュアルに反映すること。

【手順1】 リスクアセスメントシ-トによりリスク分析・評価を行った結果の残留リスクを洗い出す。

「リスク分析・評価(例)」の詳細へ



【手順2】 残留リスクの対処方法をユ-ザ-への情報提供としてマニュアルに分かり易く記載する。

(4) 逆流リスクアセスメントの試行

本来は、設計段階でリスクアセスメントを体系的に実施して残留リスクを明確にすることが正攻法ですが、これを行わないで、いきなり取説に残留リスクを記載してユーザーへの情報提供としていませんか?

ユ-ザ-が使用しているリスクの小さいと思われる製品や、過去に特に大きな事故がなかった製品などは、残留リスクについて、メ-カ-としてその安全対策に大きな関心を持たずに類似製品の取扱説明書にある内容(ユ-ザ-への情報提供)をそのまま記載するような場合、この行為そのものにリスクがあることを認識しなければなりません。

1) 逆流リスクアセスメント (Countercurrent 3 Step Method)とは?

取扱説明書に記載されている安全情報(残留リスク:Step3)から安全防護方策(Step2)が何であって、更に本質安全設計(Step1)は、どのような考え方で製品安全に対応したか?
対象製品の安全技術的側面から考察して確定的な安全対策が十分であるかを考察するものです。
メ-カ-関係者でない第三者の技術的知識のある安全評価の専門家が、この逆流リスクアセスメントを行うことによって、限定した範囲ですが、その製品安全に関する妥当性を検証することが出来ます。

2) 逆流3ステップメソッドに従った手順

■第1ステップ:
取扱説明書より、残留リスクである「使用上の情報による保護方策」を確認する。
「許容可能なリスクのレベル」であるか?
特にタ-ゲットユ-ザ-を想定してその妥当性を考察する。
■第2ステップ:
「安全防護および付加保護方策」は、「許容可能なリスクのレベル」になるまでリスク低減されているか?安全方策による別のリスクの発生はないか?その妥当性を考察する。
■第3ステップ:
設計段階で危険源の除去、又は危害の低減の可能性(リスクの少ない設計)を考察、
安全防護を用いないで安全な製品を設計(Advanced Safety Design)を追求する。

3) 逆流リスクアセスメントの例

下記の添付ファイルを参照して、残留リスク、保護方策、本質安全設計を理解されたい。