製品安全試験・評価(IEC61010-1:2001)

安全試験には以下のようなものが有ります。
これらの項目は試験を行う対象機器やテストプランによって選択されます。基本的に、構造が同じシリーズ製品やリニューアル製品の場合、その試験結果が明らかに分かっている時には類似データや過去データなどを活用して、合理的なテストプランを作成して試験を行うことをお勧めします。

(1) 試験項目

以下の項目に該当する試験を実施する。

1. 表示確認 (2項)
機器を使用する為に必要な識別および安全に関する表示の適正性を確認する。
2. 表示の耐久性試験(3項)
EUT外側の表示の耐久性を検証する。
3. Input試験 (4項)
機器の入力表示値を確認する。
4. 漏れ電流試験(5項)
エンクロージャに漏れる電流を測定し、その値により保護導体接続の構造や強度の判定を行う。
5. 温度試験(6項)
「容易に接触できる表面の温度が規定値以内か」、「巻線を持つ部品、ユニットの温度上昇が規定値以内か」、「各部品の温度が規定値(使用最大温度)以内か」の検証を行う。
6. 残留電圧試験(7項)
主電源及び外部回路用端子に於いて着脱可能なプラグ、コネクタおよび端子の残留電圧に対する保護を目的とする。
7. キャパシタンス試験(8項)
接近可能な危険な充電部において、
1) 主電源入力部とアース間にどのくらい静電容量があるか測定する。
2) 接近可能な充電部とアース間にどのくらい静電容量があるか測定する。
8. 保護導体端子試験(9項)
メンテナンスの目的で保護導体接地端子の分解組み立てを行う場合に、十分な保護導体の接地が 確保できているか検証する。
9. 保護ボンディングインピーダンス試験(10項)
接近可能な充電部の短絡事故の際、短絡電流の障害が無く、電流を流すことができるかを検証する。
10. 湿度の事前調整(11項)
12項の耐圧試験、及び13項の機械的強度試験の事前調節として行う。
11. 耐圧試験(12項)
危険な充電部及び電線の絶縁耐力を検証する。
12. エンクロージャ剛性試験 ― 静的試験(13項)
通常使用で発生しやすい衝撃および衝突を受けたとき、危険をもたらすことがないかを検証する。
13. エンクロージャ剛性試験 ― 動的試験(14項)
通常使用で発生しやすい衝撃および衝突を受けたとき、危険をもたらすことがないかを検証する。
14. 落下試験(15項)
通常使用で発生しやすい衝撃および衝突を受けたとき、危険をもたらすことがないかを検証する。
15. 騒音試験(16項)
EUTが危険を起こす様なレベルで騒音を発生する場合、発生可能な騒音レベルを測定して検証する。
16. 電源コード物理試験(17項)
電源コード、及び取付け強度を検証する。
17. 接近可能部品の決定(18項)
「規格書」6.2 項を参照する。
18. 安定性試験(19項)
EUTが通常使用時に物理的に安定しているかを検証する。
19. 吊上げ及び横持ちの事前対策(20項)
手持ち用ハンドル又はグリップの重量負荷を検証する。
20. 壁取付け試験(21項)
壁、又は天井に取り付けることを意図したEUTの取付けブラケットの重量負荷を検証する。

機械の内部構造及びブロック図(電源部)
例:機械の内部構造及びブロック図(電源部)

以上が主な計測・検査(ラボ)機器の試験項目となります。適切な試験・評価プランに基づいて、対象機器の安全評価を行うことが要求されます。

(2) 評価項目

1. 試験
「規格書」4.1 項一般を参照する。
2. 表示及び文書化
機器を使用するために必要な識別、安全に関する表示及び文書化の適正を確認する。
3. 電撃に対する保護
通常条件および単一故障条件で電撃に対する保護の確認。
4. 機械的危険に対する保護
通常使用時および単一故障時の操作で危険が生じないことを確認する。
5. 衝撃及び衝突に対する機械的耐性
通常使用で発生しやすい衝撃及び衝突を受けたとき、危険をもたらすことがないかを 確認する。
6. 機器の温度限界及び火炎の広がりに対する保護
通常条件または単一故障条件において、機器の外部への火炎の広がりがないことを確認する。
7. 機器温度限定値及び熱抵抗
「容易に接触できる表面の温度が規定値以内か」または「巻線を持つ部品、ユニットの温度上昇が規定値以内か」、「各部品の温度が規定値(使用最大温度)以内か」を確認する。また、非金属エンクロージャ、絶縁材料は適切な耐熱性をもつかを確認する。
8. 流体による危険に対する保護
流体を内蔵する機器又は液体のプロセスの計測に使用する機器は、オペレータ及び周辺区域を、通常使用の液体から生じる危険から保護する設計になっているかを確認する。
9. レーザー源を含む放射線、並びに音圧及び超音圧に対する保護
「規格書」12.1 項を参照する。
10. 遊離ガス、爆発及び爆縮に対する保護
機器は通常条件で、危険な量の有毒ガス又は有害ガスを遊離しないことを確認する。
「規格書」13.2.1 , 13.2.2 , 13.2.3 , 13.2.4 (11.7) 項を参照すること。
11. コンポーネント
「規格書」14.1 項を参照する。
14. インタロックによる保護
「規格書」15 項は故障試験、12.項インタロックを参照すること。
15.試験及び計測機器
「規格書」16.1 , 16.2 項を参照する。
また、評価は対象機器のリスクアセスメントを行って、総合的に安全性の観点からリスク低減の妥当性の検証を行って、文書化することが重要です。

安全試験機器

安全試験は、対象製品の仕様によってその試験項目、内容、方法などが違って来ます。適用規格のIEC 61010-1(計測、制御及び試験所用電気機器)は、電気的なシステムで構成され、その電源部を中心とした電気安全試験を行って、その安全性を確認して規格への適合性の検証が要求されます。試験は、メ-カ-自身で行うことが可能ですが、規格要求に従った方法、評価を行うためには、安全試験に関する専門的な知識、スキルが必要です。試験の具体的な方法は、規格書に記載されていませんので専門の試験機関に依頼するか、また自身でその方法を習得して社内的な標準書を作成して実施することをお勧めします。

尚、試験デ-タは、対象製品の構造を含めた規格適合性の評価と共にテストレポ-トを作成する必要があります。このレポ-トは、CEマ-キングの場合、規格適合の根拠を示す エビデンスとして技術文書(Technical Documentation)の添付資料となります。

安全試験機器(例)



試験の意味

よく、メーカーの方々から、「EU指令や整合規格が改訂されるたびに、安全試験を何度もやり直さなくてはならず、費用面でも時間面でも負担になって困る」というご相談をいただきます。
このような課題は、以下の2つのケースに分けて考える必要があります。

1つは、自社製品が第3者機関の認証を必要としている場合です。
この場合は、第3者に向けて該当する規格要求の一つ一つについて、しっかりと検証、提示する必要がありますので、規格改訂のたびに必要な試験を行う必要があります。

2つ目は、自社製品を自己宣言する場合です。
この場合には、メーカー自身の自己宣言ですので、該当する規格要求をメーカーの責任で独自に検証、提示する必要があります。メーカーは過去から現在までに、数々の安全技術を蓄積しています。

その技術情報をもとに「行う試験」と「行う必要がない試験」を安全技術面から考察することにより「試験仕分け」を行います。
「試験仕分け」をする際の一つのポイントは、「事前にリスクアセスメントをしっかりと行い、許容できないリスクに対し、安全技術面から考察する。それでも安全を確認できない場合には、試験を行って確認する」という基準です。
したがって、CEマーキング適合のための安全試験の費用と時間を低減させるためには、「日頃の安全技術の蓄積」が不可欠となることは言うまでもありません。