コンプライアンスとリスクアセスメント

コンプライアンス

CEマーキングは今や欧州市場へのパスポートのようなものとなっているため、欧州市場に自社製品を輸出したいメーカーは必ず、CEマーキングの要求事項を満たさなければなりません。
もし、製品のCEマーキングへの適合義務に違反したらどうなるのでしょうか。

  • 製品の流通制限
  • 欧州市場からの製品撤去

によって、企業は社会的にも経済的にも甚大な損害を受けることになります。
では、見つからなければ良いかというと、決してそうではありません。
EU域内では下記のような制度・システムによって、市場に流通する製品を厳しくチェックしています。

マーケットサーベイランス(市場監視)

EU加盟各国にはマーケットサーベイランス(市場監視)を管轄する当局を設置して、各国単位で監視を行うことが義務付けられている。違反が発覚した場合の措置は各国が独自に決めており、罰金や禁固刑、製品の撤去、出荷・販売・使用の禁止などがある。

セーフガード(緊急制限)

ニューアプローチ指令には、指令が定める安全基準に製品が適合していない場合のセーフガード(緊急制限)条項が定められている。セーフガード条項では、指令に違反する製品が流通している場合、加盟各国の製品の流通の制限や市場からの撤去など適切な措置をとることが義務付けられている。こうした措置をとった場合、加盟各国は欧州委員会に通知し、欧州委員会がその措置が妥当と判断すれば、全加盟国に対してこれを通知し、加盟各国は適切な措置をとる義務が生ずる。

リスクアセスメント

では、CEマーキングに適合した製品であれば、事故は起こらないのでしょうか。
そんなことはありません。
現実に、CEマークが付いた製品であっても、大小様々な事故が至るところで起こっています。
また、CEマークはニューアプローチ指令が定めた必須要求事項を満たし、指令が規定する適合性審査の手続きに従った製品である証拠を示すものであって、CEマーク自体が製品の品質を保証するものではありません。
最終的に、製品に対する責任を負うのはそれをつくったメーカー自身なのです。
そのような背景から、EU指令や整合規格の中でも、リスクアセスメントの実施は「推奨する」から「義務である」との方向に変化してきています。

リスクアセスメントとは何か

リスクアセスメントとは何でしょうか。

リスクアセスメントとは、

  1. 機械・設備の使用条件、合理的に予見可能な誤使用を明確にし、
  2. すべての危険源(ハザード)を見つけ、
  3. 各危険源(ハザード)ごとに、その危険性(リスク)の大きさを見積もり、
  4. 大きなリスクを持つ危険源(ハザード)から、そのリスクが受け入れ可能になるまで、安全対策を施すための、事故の未然防止のための、科学的、体系的手法のことです。